3歳ですが、自分でできることも「やって」と大人に甘えてきます。
3歳になったといっても、まだまだ依存しつつ自立していく時期です。3歳になって「一人前」という気持ちと、まだまだ甘えたいという気持ちが、ぶつかり合っている時期でしょう。
子どもはいつも「自分のこと見ていて!」という気持ちが働いています。「やって!」と言うことで、大人が自分に目を向けてくれると思ったのかもしれませんね。
「○○ちゃん、ひとりで服着られたね。すごいね」などと、がんばっている姿をほめてあげることで、「わたしのこと見てくれている」と思い、「やって!」がなくなるかもしれません。時々は「やってあげる」ことで甘やかすことも必要ですが、自分でがんばっているときに、大人にほめてもらったり励ましてもらったりすることのほうが、子どもはうれしいと思います。それに、そのほうが、これからも自分でがんばろうという気持ちになるのではないでしょうか。

篠原秀子(おさなご保育園 理事)

3歳ですが、思い通りにならないことがあると、
いつまでも泣きやみません。
3歳になっても「Aでない。Bだ」という思い直しができず、引きずる子どももいます。周囲の状況に目を向けられるだけの心の余裕と認識力が育っているかどうかですね。 こういう力が育ち切れていない場合、自分の要求を大人に真正面から拒否されると、3歳になっても「やだやだ」の世界に後戻りしてしまいます。そこで、子どもの言葉の受け止め方を工夫してみましょう。 単に「今は絵本読めないよ」などと言うのではなく、「わかった。絵本読もうね。じゃあ急いでお掃除しちゃうから、ちょっと待っててね」といったん受け止めて、大人の都合をわかってもらいましょう。 子どもも自分の要求が大人に受け止められたとわかると余裕ができ、安心して大人の言葉を素直に聞き取ることができて、待つことができるでしょう。

篠原秀子(おさなご保育園 理事)

話を落ち着いて聞けません。
年齢によっても違いますが、話の内容は1つのことを伝えましょう。あれやこれやと多いと混乱することになります。また、具体物を示したり、その場で言うことを心がけましょう。話だけでない、目からわからせることも大切にしてください。他に注意がいかないように、目に入るものや気になる音にも配慮してください。

小林研介(呑竜幼稚園 園長・佐野日本大学短期大学 教授)

入園以来、毎朝大泣きしてしまいます。
大泣きしたら黙ってそばにいてあげてください。泣き止ませようとしなくてよいのです。泣きたい気持ちをわかってあげ、そばにいることが大切です。時間が許せば親も園にいっしょにいて、子どものなかに朝から帰りまでの園生活に見通しがつけられるようにしてあげましょう。別れる時点では帰ることをきちんと伝えてから帰るようにすることが大切です。

小林研介(呑竜幼稚園 園長・佐野日本大学短期大学 教授)

無口であまりしゃべらないのですが、なぜでしょうか?
さまざまな理由が考えられます。言語などの発達の遅れや難聴の可能性を感じるようなら、専門機関に相談してみてもよいかもしれません。発達面に問題がない場合には、なぜ無口なのかを、じっくり子どもの心に寄り添いながら考えてみましょう。他人に対して無口でも家族とは普通に会話できるのであれば、特定の環境のなかでの「場面かん黙」かもしれません。話すことで笑われたり、怖かったりなどの直接的・間接的な原因がなかったか思い返してみてください。言葉が出ないときに無理に声を聞きだそうという姿勢が、余計に口を閉ざす空気にさせることもあります。毎日優しく、気楽に話しかけ、少しでも言葉が聞けたときにはさりげなく喜びを伝えていくとよいですね。

濱名 浩(立花愛の園幼稚園 園長)

小さい声でしか話せないのですが、どうしたらいいですか?
大人でも人前で話す場面で緊張してうまく話せないこともあるでしょう。ましてや、経験の少ない子どもの場合、それは当たり前のことと思われます。「もっと大きな声で言わないと聞こえないよ」などと、子どもがいしゅくしてしまうような声かけは避けたいですね。声の大きさだけに焦点を当てるのではなく、小さな声に耳を傾け、その話の内容をじっくりととらえ「○○くんのお話聞くのは楽しいわ」など、感じた率直な気持ちを伝えてください。そうした積み重ねが、子どもに、話すことの楽しさを味わわせ、少しずつ自信へとつながっていきます。

濱名 浩(立花愛の園幼稚園 園長)

話しかけても、「おうむ返し」ばかりしてくるのですが…。
言語の獲得は、強制されて知るのではなく、まねをすることから始まるといわれています。「おうむ返し」もその道筋のひとつといえます。
例えば「おてて洗おうね」という言葉に対して「おてて洗おうね」と返ってきたら、「そうおてて洗おうね」といっしょに手を洗いましょう。そして、「きれいになったね」、「気持ちがいいね」という心の表現をすることで、言葉には自分の思いを他人に伝えるという大切な役割があることも理解していきます。
言葉を覚えよう知ろうとしていく思いを大切にしながら接し、急がずに関わってあげてください。

木藤尚子(自然幼稚園 元園長)

3歳児ですが、思いどおりにならないとすぐにいじけてしまいます。
自分の思いどおりにならないときに自己中心的になってしまうのは3歳児にはよく見られることです。
思いどおりにならないときは、気持ちを立て直す時間も必要でしょう。自分でコントロールしながら思いを話し出したときには、話すなかで自分が悪かったことに気づくこともあります。子どもがどう説明していいかわからず戸惑っているときには、思いを言葉にする援助をしてあげましょう。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

年下の子どもとばかり遊ぶのですが…。
園生活に慣れていなかったり、月齢の小さい子は、同年齢の子どもと遊ぶよりも自分より下の年齢の子どもといるとホッとするようです。だからといって、同年齢の子どもと遊べないということはないと思います。慣れてくると、だんだん同年齢の子どもたちと遊ぶ時間も増えてくるでしょう。

牧 裕子(社会福祉法人さやまが丘保育の会 統括園長・常任理事)

落ち着きがないのですが、どうすればよいでしょうか?
落ち着きがないのは、別の見方をすれば「いろいろな物事に関心を示す」ことでもあります。それを一概に悪いことと決めつけてはいないでしょうか。そうしたその子の見方、捉え方が案外大切なのです。
そのことにいっしょに付き合っていくような余裕がないといけません。その子の見方が、その子をつくるということも考えたいものですね。

小林研介(呑竜幼稚園 園長・佐野日本大学短期大学 教授)

「作り話」をよくするのですが…。
「うそ」と「作り話」は違います。幼児は現実と空想の境界があいまいではありますが、「うそ」は自分のことを有利に言い訳したり、まずいと思ったことを隠すときに言うものです。それに対して「作り話」は、現実と空想の世界がごっちゃになっている場合がほとんどです。作り話の多い子どもは、うそをついているという意識はなく、自分でもそのとおりだと認識しているようです。また、話すことにより、人が喜んだり驚いたりしてくれることを楽しんだりもしています。人と関わるきっかけにしようという気持ちもあるでしょう。まずその思いをくんでお話を聞いてあげることが大切です。

小林研介(呑竜幼稚園 園長・佐野日本大学短期大学 教授)

いつもめそめそしているのですが…。
すねたり、めそめそするには当然理由があります。ひとつには、できるかどうか不安な時。もうひとつは、大人に構ってもらいたい時です。子どもの気持ちに共感しながら寄り添うことを心がけてください。
例えば、ひとりでさせるのではなく、大人がまずやってみて、したくないなら見ていればいいよと伝えましょう。なにがなんでもしなくてもよい状況にいられることで、子どもはかなり安心していきます。
大人が「あなたのことを見ている」というメッセージを発し、ほめてあげることを少しずつ積み重ねることで、子どもは自信をつけていくでしょう。

小林研介(呑竜幼稚園 園長・佐野日本大学短期大学 教授)

絵本にまったく興味を示さない子どもへの対応は?
絵本嫌いな子どもはいません。楽しい絵本とこれから出会えばよいですね。子どもの興味関心に合ったものを選ぶと、絵本の内容に共感し、好きになることでしょう。大人がモデルとなり絵本を手にすることも大切です。読み聞かせを続けると習慣になり、大好きな大人と共有する時間を楽しみにするようになります。子どもの手の届くところに絵本を置いてあげましょう。表紙が見えるように置いてあげると、より身近に感じるでしょう。

後藤光葉(西鎌倉幼稚園 園長)

運動会を前にして、元気がなくなるのですが…。
元気のなくなる原因はなんでしょうか。仮に個人競技だとしたら、「お母さんも走るの得意じゃないんだ」などと、大人が得意、不得意な話をするのもいいと思います。そうすることで子どもは気楽になり、安心できるでしょう。また、運動会は個人競技ばかりではないので、そちらに目を向けていくことも有効です。当日に向けた準備への関わりなど、楽しさを見い出せることもあるでしょう。また、最後までがんばることも大切だと知らせることも重要ですね。

小林研介(呑竜幼稚園 園長・佐野日本大学短期大学 教授)

子どもの自主性を育てたいのですが…。
まず、子どもが遊びに熱中しているときに、声をかけないことが大切です。ハラハラする場面もあるでしょうが、やってみようとする気持ちを大切に、経験させることで子どもは成長していきます。
好きな遊びを好きなように展開できる時間と空間を保証してあげましょう。
そして感想は、遊びのあとに伝えましょう。見守られている、信頼されているということが伝われば、安心かつ自信を持って遊びや生活を進めていきます。支障が出てくることもありますが、そんなときはその気持ちを伝え、解決策を子どもと考えましょう。自分で決めたことだからと、少しずつそのルールも自主的に大切にするはずです。

後藤光葉(西鎌倉幼稚園 園長)

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