トイレに行く回数が多く心配です。
おしっこは3歳で1日に7〜9回、4、5歳で5〜6回出るそうです。ぼうこうの大きさなど、個人差がありますので、平均よりトイレの回数が多いからといって、がまんをさせるのはよくありません。行動を否定せず、焦らず見守りましょう。まず、いっしょにトイレに行って本当に毎回おしっこが出ているのか、一度にどのくらい出ているのかを確認してみるといいですね。そして、何度もトイレに行く理由を考えてみましょう。なにか気になることがあるのかもしれません。緊張やストレスから頻尿になることもあるそうです。そういった場合は、原因を見つけ、取り除いてあげることが一番でしょう。

松村正幸(鶯谷さくら幼稚園 園長)

4歳になるのですが、うんちの始末ができません。
うんちの後のおしりふきは案外難しいものです。手を後ろにまわし、後方にふき取ればきれいにできるはず…なのですが、この動きは自分では見えないので、難しいのでしょう。また、子どもはペーパーを畳むより丸めてしまうことが多いと思います。「トイレットペーパーを畳んでくれる?」などど、できそうなところからいっしょに進め、手を添えてふいてみるなどするとよいでしょう。できたときはいっしょに喜び、ほめることが大切です。決して無理やりやらせるのではなく、長い目で見守っていきましょう。

松村正幸(鶯谷さくら幼稚園 園長)

歩いていても、すぐに「疲れた」と座り込んでしまいます。
生活リズムが狂っていたり、間食が多く三食の食事が進まなかったりすると体力不足になる場合があります。生活習慣を見直し、追いかけっこや縄跳びなど体を動かす遊びに誘い、体力をつけていきましょう。
また、「子どもは本来疲れないもの。大人がよく使う言葉をまねているのです」との専門家の指摘もあります。大人が「疲れた」を口癖にしたり、運動をしたあとに「疲れたね」と子どもに投げかけたりしないよう気をつけたいですね。

野上秀子(久我山幼稚園 園長)

夏に多い皮膚のトラブルの予防法は?
皮膚は体に細菌などが侵入することを防ぐバリアーです。傷がつくと簡単に細菌が入り込んで感染を起こし「とびひ」などになります。まず皮膚の清潔が第一です。汗をかいたあとは、かゆくなるのでシャワーで汗を流してください。シャワーが無理であればぬれタオルでもいいので、体全身をふいてください。
保湿剤で皮膚の潤いを保ち、つめはこまめに切り、皮膚に傷を作らないようにしましょう。また、日焼け止めや虫よけのクリームやスプレーを使って予防にも努めてください。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

梅雨どきの健康管理はどうすればいいですか?
梅雨どきは部屋の中の湿度が高くじめじめして、ダニが繁殖してかびが生えやすくなります。梅雨に入る前にエアコンの掃除をしましょう。室内を清潔に保ち、温度・湿度を上手にコントロールするようにしてください。 また、この季節は食中毒にも気をつけてください。手洗いをまめにする、食材の鮮度に気をつける、十分加熱する、調理器具の清潔に気を配る、冷蔵庫を信用しすぎないなどが重要です。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

夏バテ対策を教えてください。
夏バテの症状は、全身倦怠感、食欲不振、下痢、めまいなどがあげられます。回復・予防するには十分な休息を取ることと適切な栄養補給が大切です。体を休めるためにお昼寝は効果的です。眠れなくても横になるだけでもよいです。また栄養補給は牛乳・卵などの消化のよいたんぱく質や脂肪、豆類や豚肉などのビタミンB1が豊富な食事を摂るようにしてください。また冷たいものを摂り過ぎると、食欲を減退させ、消化吸収の能力が落ちるので気をつけてください。清涼飲料水は糖分が多く入っているので水分補給としては麦茶などがよいでしょう。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

頭をぶつけ、大きなこぶをつくりましたが、受診するべきでしょうか?
子どもの事故に共通して気をつけるポイントは、いつ、どこで、なにを、どれくらい、という情報を的確に押さえることです。頭をぶつけて意識がない、何回も吐く、けいれんがある、傷がある、出血している、頭痛を訴える、発熱しているという症状があれば、すぐに脳外科のある病院を受診してください。
逆に泣きやんで意識も普通、大泣きした拍子に吐いてしまった、あるいは吐いても1〜2回で、その後吐き気もなく飲食ができる、顔色も悪くない、機嫌も普通という場合は打ったところを冷やして安静にして様子をみましょう。また、頻度は少ないですが、あとになってから症状が出てくる場合もありますので、1か月くらいは気をつけて子どもの様子を見るようにしてください。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

打撲の応急処置は?
打撲した場合は、傷があればまず傷口を水道水のような流水で洗い、消毒してガーゼを当ててください。 その後打ったところをビニール袋にいれた氷などで冷やしてください。打撲の応急処置は腫れたり内出血したりすることを防ぐことがポイントで、安静(Rest)、冷却(ICE)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の“RICE” を早く行うことが効果的です。具体的には打撲した部位に、
①皮膚表面にタオルを当てビニールに入れた氷などで冷やし、
 
出血や腫れを抑える。
②その上から少しきつめに包帯などで患部を巻き上げ、
 
腫れを抑える。
③出血がある場合はその状態で患部を心臓より高くして
 
30分安静にする。
 次の20分は包帯をほどいて患部の圧迫を解く、
 
これを繰り返す。
この処置がスポーツ外傷の初期対応の原則で、捻挫、骨折などにも共通に適応します。骨折した場合は、打っていない側と比較して、大きく腫れます。また、不自然に変形し、皮膚も内出血で変色しています。痛みは激烈で長引きます。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

アブやハチに刺されたときの応急処置は?
まずなによりも、刺されないように予防対策をとってください。アブやハチのいるところは避け、黄色や黒の衣服を避け、長袖などできるだけ皮膚を覆った服装をしましょう。子ども用の虫よけスプレーなどもお勧めします。万一刺された場合は、刺された部位を水で洗い、針が残っていれば取り出し、毒を搾り出すようにしてから、抗ヒスタミン剤(レスタミン軟膏)を塗り、冷やしてください。刺された直後からじんましんや腹痛、気分が悪くなるようであれば直ちに病院で受診してください。応急処置をしたうえで元気な様子であれば心配いりません。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

バスで遠足、乗り物酔いの予防は?
乗り物酔いを予防するには、以下のことに気をつけましょう。
①十分睡眠をとる 
②乗る前に食べ過ぎたり飲み過ぎたりしない 
③空腹のまま乗らない
④体を締め付けるような服を着ない、
 
特におなかの辺りは緩めに 
⑤遠くの景色を見るようにする
⑥バスでは前方の席にして視界を広くする 
⑦下を向いてゲームなどをしない
⑧乗り物内の換気をよくする 
⑨みんなで歌うなどリラックスさせる
  …などが挙げられます。
また酔い止めの薬を飲ませる場合は乗車30分前には飲んだ方が効果的でしょう。 「薬を飲んだから大丈夫」という暗示効果も期待できます。 酔ってしまったら
①降車して外の空気を吸わせる、
 
降車できなければ窓を開ける 
②衣服を緩める
③遠くの景色を見たり、目を閉じさせたりする 
④横にする
  …などしてください。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

プールで目が充血した場合の処置は?
プールの水は消毒のために塩素が使われています。その塩素の刺激で目が充血します。昔はプールから上がると残留塩素を洗い流すために水道水で洗眼したりしましたが、この水道水も、塩素で消毒されているので意味がないばかりでなく、むしろマイナスなので洗眼することもなくなりました。涙が目の表面を常に洗い流していますので、残留塩素も涙で洗い流されます。涙がもっとも優れた洗眼液なので目薬をさす必要もありません。角膜が直接水に触れることは好ましいことではないので、プールで泳ぐ時にはゴーグルをつけた方がよいでしょう。

三石知左子(葛飾赤十字産院 院長小児科

鼻血が出たときの止血法は?
鼻血が出たら子どもを寝かせます。ただし頭は心臓より高い位置にしてください。頭を高くすることで鼻に到達する血液の量を少なくするのです。また頭を心臓より低くすると鼻血は前に流れず後ろに流れ、のどや胃に入って時に嘔吐や咳を誘発します。出血している鼻に脱脂綿かティッシュを入れて小鼻を10分ほど押さえれば普通は止まります。止まりにくいときは冷やして血管を収縮させるといいでしょう。
子どもは出血した赤い血を見て驚き、よく泣くものです。止血中は優しく声をかけて精神的安心感を与えることも忘れないでください。このような処置をしても鼻血が止まらないときは小児科か耳鼻科を受診するようにしてください。子どもは鼻がもぞもぞすると無意識に鼻をほじったりして傷つけてしまいます。当然鼻血対策のみならず、つめをきちんと切り清潔にしておくことも大事です。

鈴木 洋(鈴木こどもクリニック小児科

軽いやけどの処置は?
まず、やけど直後は流水で冷やしてください。水道水でかまいません。手足や指であれば洗面器に水を入れて冷やしてもかまいません。少なくとも10分以上は冷やしてください。水疱を伴うやけどであれば、その日に医療機関を受診しましょう。やけど直後には正しい判定ができません。ただ赤いだけのやけどと思っていても時間がたつにつれて水ぶくれができることがあるのです。軽いやけどと思っても最低1日はよく観察するようにしてください。やけど用の塗り薬を市販薬でよく見かけますが、やけどに対しては何も塗らないことが原則です。

鈴木 洋(鈴木こどもクリニック小児科

平均よりかなり体重が重いようです。何か対応策をとるべきですか?
幼児肥満に関しては、2、3歳まではあまり気にしないでいいのですが、4、5歳の肥満は要注意です。
特に肥満の要因として食生活と生活全般の習慣が大事だと言われています。幼児期後半の年齢は一生にわたって影響する生活習慣を作る年齢です。食べ物のしこう、食べ方、生活リズムなど、まずは大人たちがきちんとした生活習慣かどうかから確認すべきです。子どもたちには意識して作ってあげなければきちんとした生活習慣は確立されません。どの程度の肥満かどうかは母子健康手帳の肥満度のグラフに子どもの身長と体重を記入すればわかります。成長とともに肥満度が増えている状態であれば問題点を考えましょう。

鈴木 洋(鈴木こどもクリニック小児科

全般的に手先が不器用です。
ストローを使わずコップから直接飲むことや、マジックテープではない靴ひもの靴を履くことを苦手とする子どもが多くなっています。現代の子どもたちは便利な物に囲まれていて、不器用になってきているのかもしれません。生まれつきの個人差があるのも事実でしょうが、手指を使えることは、「生きていく力」につながると思います。例えば、ままごと道具の中に、柔らかいスカーフや風呂敷を加えて、包んで縛ってお出かけごっこを楽しむなど、遊びに工夫をしてみてください。ちょっと難しいことでも、ハードルを低くして根気よく取り組むことで、乗り越えられれば、達成感を感じて頑張って取り組むことでしょう。

佐藤和代(保育士・臨床発達心理士)

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